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大学共通試験記述式導入見送り発表

2019年12月23日 CATEGORY - 代表ブログ

皆さん、こんにちは。

2020年の大学入試改革における英語民間試験導入に関するニュースを継続的にご紹介するシリーズが、前回(2019年11月3日)の記事での「英語民間試験20年度見送り」のご紹介をもって一応の最終回を迎え(たと思ってい)ました。

ただ、その記事の中で私は、「国語や数学での記述(論述)問題化にも同じことが言えます。」として、本質的にはまだ問題が残っていることを指摘しました。

そして、先日(2019年12月17日)、萩生田大臣は会見で「記述(論述)問題の20年度見送り」を決定したとの発表を行いました。

以下は、日経電子版の記事のからの引用です。

「大学入学共通テストでの(国語・数学)記述式問題について萩生田文部科学大臣は『受験生の不安を払拭し、安心して受験できる体制を早急に整えることは現時点では困難だ』と述べ、当初予定していた再来年1月からの導入を見送ることを発表しました。国語と数学の記述式問題の導入にあたって萩生田文部科学大臣は記者会見で、実際の採点者が決まるのは来年秋から冬になることや採点ミスを完全になくすことは期待できないこと、採点結果と受験生の自己採点の不一致を格段に改善することは困難だなどと説明しました。そのうえで、『受験生の不安を払拭し、安心して受験できる体制を早急に整えることは現時点では困難だ』と述べ、当初予定していた再来年1月からの大学入学共通テストへの導入を見送ることを発表しました。そして、記述式問題の今後の扱いについては『期限を区切った延期ではない。英語の民間試験と違い、全くまっさらな状態から対応していきたい』と述べました。一方で、論理的な思考力や表現力を評価する記述式問題の役割は重要だとして各大学の個別試験では記述式問題の積極的な活用を要請する考えを示しました。」

この問題の本質については、前回の記事で私は以下のように指摘しました。

「そもそものセンター試験の存在意義は、各国立大学が二次試験でそのような幅の広い『論述力』の測定を丁寧に行えるようにするために、基礎学力を一定水準以上持っているかどうかによって『足切り』するためのものでした。」

つまり、センター試験(共通試験)の本来の存在意義を理解している人であれば、絶対に必要のないと考える試験改革であったということです。

なぜなら、国立大学はもともと、大臣が示したような「個別試験で記述式問題の積極的な活用」を個別に当然のことのようにしてきたからです。

ですから、取り組むべきなのは、国立大学の受験を前提として設置されているセンター試験(共通試験)の改革ではなく、多くの私立大学の重箱の隅をつつくような「記憶力」一辺倒の択一式試験の改革であるべきだったのです。

ただそうであっても、私立大学は、自分自身がどのような学生をとりたいのかを独自にその入試の内容に反映させればいいわけで、このように行政が一律にどうこうすべき問題ではありません。

この一連の狂騒曲の背景には一体何があったのか、問題の本質を考えれば考えるほど、この狂騒曲に巻き込まれた学生が非常に不憫でしかたありません。

 

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