代表ブログ

夢と金

2023年4月30日 CATEGORY - 代表ブログ

皆さん、こんにちは。

かなり前にキングコング西野さんの「革命のファンファーレ」をご紹介して、彼の世の中を深いところまで洞察した上で、自分の取るべき行動を確信的にとる姿勢に感銘を受けたと書きましたが、もう一度その刺激を受けたいと思い、彼の最新作「夢と金」を読みましたのでご紹介します。

著者は本書の冒頭で日本における「お金」に関する教育のお粗末さを「お金を『はしたない』と教え、その本質の理解から子供を遠ざける親や学校の行為は残忍極まりないが、残念ながら彼らにその自覚はない」とこれでもかというくらいに厳しく批判しています。

親や教師の多くが「夢を持て」と教える一方で「お金の話はするな」ということのナンセンスさを著者は強く指摘しています。

この著者の指摘を受け、これもかなり前のものになりますが、「利益と理念どっちが大切?」という記事の中で次のように書いたことを思い出しました。

「企業にとっての利益は人間にとっての栄養や血液、水分のようなものである。したがって、それ自体が目的では決してない。しかし、それがあって初めて人間は活動することができ、特定の目的を達成することができる。つまり、利益or理念の議論は的を外しており、あくまで利益and理念の議論のみが存在するのである。」

まさに、著者の指摘も「金or夢ではなく金and夢」の議論でした。

しかも、彼は自らの活動の中で「金and夢」を実践した経験からその本質的理解を非常にうまく言語化しており、前著にも増して「好感度」を犠牲にしながら、きっちり「信用」を作ることに成功した内容になっていました。

本書の中で最も感銘を受けたのが、少子高齢化が今後も加速する日本において、かつての高度成長を前提とした多くの消費者に対して「機能」を提供する経済モデルから、少数のファンに「意味」を提供する経済モデルに変わる必要があり、そのために必要な「お金」のルールを知る必要があるという議論でした。

つまりは、受け入れることで商品をたくさん売らなければならないような利益の薄い顧客をあえて切り捨て、十分な利益を乗せることの意味を理解してくれるファンをできるだけ多く受け入れる方向に向かわなければならないということ。

そういえば、日本人は必要な「ハイスペック」にとどめることができず、どこまでも「機能」にこだわり「オーバースペック」になってもそれに気づかない職人気質のが多すぎることが問題だというのは、デイヴィッド・アトキンソン氏の指摘にもありました。

その上で必要なのは、「ハイスペック」と「オーバースペック」の違いをきちんと自覚して、しっかりと見返りのある場所に資源(お金と時間)を正しく投下することを著者は自らの経験をもとに教えてくれています。

ただ、「彼の仕事」を見てみると、その「ハイ」と「オーバー」のラインはかなり高いということも織り込んでおくことは必要ですが。

 

◆この記事をチェックした方はこれらの記事もチェックしています◆